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蟹蟹蟹

以前こんなニュースを読んだ。
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【中国】上海ガニ:欧州で大繁殖、生態系の脅威に

 上海ガニがエルベ川など欧州各地の河川で大繁殖しており、現地の生態系にとって脅威となっている。2日付で環球時報が外電を引用する形で伝えた。

 問題となっている上海ガニはもともと中国の長江下流で生息していたが、欧州に向かう貨物船に積まれたバラスト水に混入していたものと見られる。雑食性で生命力が強いことから現地の生態系にとって脅威となっている。ドイツのメクレンブルク=フォアポンメルン州では淡水の水揚高が以前の半分となってしまった。

 ハンブルク大学の生物研究者は「上海ガニは今後数年間で西欧の全ての河川や港湾で見られるようになるだろう」「厳しい措置をとらないと上海ガニを絶滅させることができなくなる」と警告を発している。

 欧州では上海ガニを食べる習慣がないが、在住している中国人やベトナム人のために毎週200キログラムもの上海ガニを捕獲して、スーパーマーケットやレストランに出荷する漁師も現れたという。(編集担当:菅原大輔) searchina.ne.jp より
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で・・・この中国人やベトナム人が捕獲しているという蟹、食べてみることにした。
実は、ずいぶん昔から秋口になるとパリでも一部の中華食品店で見かけることがあった。場所はパリで昔から服飾により立志伝を築き上げた温州の人々が住んでいる地区。その近くのレストランで、以前酔っ払い蟹を試したことはある。当時、酔っ払い蟹が危険だって知らなかったんですが食べてしまいました。でも元気です。

さてこの地区に二件しかない食材店の一つに入ってみると、日本では築地など魚市場で泥鰌を入れるプラスチック製コンテナーに蟹がウヨウヨ蠢いていた。淡水の蟹だから匂いが独特で、甲殻類のちょっと磯臭いような泥臭いような微妙な感じ。香港で見かける様に十文字に縛ってあることはない。ただヨーロッパの河川を脅かすだけのことはあり、樽の中の殆どのカニたちはずいぶん長いこと放置されているようだが元気に蠢いていた。

 お店の人に、蟹を買いたいと意思を伝えるも返事は中国語。指で何杯ほしいか伝えるもビーニル袋を持ってきてくれてさあここから選んで中に入れなさいと言っているみたい。気負いもしつつ、自分で選んだほうが納得いく物が選べそうな気がして蠢く蟹たちの中に手を突っ込む。でなるべく俊敏に逃げようとする活きの良いやつを十杯選び出した。蟹達はに二重にされたビーニル袋一杯に収まり哀れにも袋の持ち手はきつく縛られるも、さらも狭くなった中で蠢き続ける。袋はすぐさま蟹の足だけの見える穴だらけになった。お値段だけど、これが思った以上に高かった。てっきり繁殖力が強いので、わんさか取れるもんだと思っていたけど十杯で20ユーロ以上した。後は蟹と一緒に飲む紹興酒と黒酢生姜を買い足し、いざ料理をする友達のお家へ。

 上海蟹、めんどくさいのが下ごしらえ。OOOで学んだ通り塩水の入った深いなべに蟹をつけて待つこと二時間。この間、泥が良く出てすぐに水が濁るものだから何度も水を換えた。やっとこさ水が澄んできた所で歯ブラシタイム。淡水に住む蟹だから寄生虫が表面の毛に残ることが多いためしっかりとブラシをかけるのが良いとされる。実際、つめに生える、モズクのような毛をゴシゴシ擦ってみるとあんなに水が澄むまで塩水に浸けておいたのにまだ泥が出てきた。そして、このブラシをする間、二度ほど彼らにつめで挟まれた。これ結構痛いです、かにも最期を悟ったのか、思いっきりやられました。
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下ごしらえがやっとこさ終わり、塩、生姜、紹興酒の入った熱湯で蟹を湯がくこと25分、黒光りしていた鶯色の蟹たちは、鮮やかなオレンジ色に変身しています。
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夕方7時に買った蟹をようやく食べたしたのは夜11時、お味の方ですが、これがなかなか美味しい。蟹味噌なんかも海鮮物より上品だなと思います。ただ、食べるところが何せ少ない小さな蟹なので、食べるための労力に見合うかどうかといったことがやっぱり気になりました。まっ、今回はヨーロッパの河川を外来種から守るという偉そうな名目と単なる食いしん坊の気まぐれだったので良いのですが。ぜひ、ヨーロッパの中華料理屋さんで大々的に上海蟹料理を広めていけばあっという間に問題解決しそうな気もするけど・・・。
by y_tory | 2006-10-31 23:46 | 暮らし
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